「お水取り」 造花の椿花 撮影:今駒清則
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23日は華やかで賑やかな日です。別火坊では午前中に処世界(しょせかい)の役は内陣を飾る南天の花や椿の造花をしつらえる「花拵え」や、また行中の明かりに用いる燈心(とうしん)を揃える仕事があるのですが、処世界は練行衆としては一番経験の少ない僧が務めますからこの作業は手に余ります。そこで別火坊の大広間で練行衆や童子、仲間まで出て総掛かりでこれを手伝います。行中はあまり実務がない高僧が懸命に燈心を数えている姿はほほえましい光景です。
大広間いっぱいに広がって作業をするのですが、そこへ報道陣が沢山押しかけますので、この時は大変な賑わいとなります。作られた椿の造花は総別火(そうべっか)の時に椿の枝に挿して造り上げます。
こういった修二会に用いられてきたさまざまな素材の多くが、各地の信者さんたちの講から、また伝統的な方法で製作されたものが届けられてきたのですが、それが最近では途絶えがちになってきているようで将来を危惧するむきもあります。
「お水取り」 声明の稽古 撮影:今駒清則
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「花拵え」が済むと昼食です。処世界が手伝ってもらったお礼に一同へ振る舞いをすることになっているのですが、特別変わった食事がいただけるわけではないようです。
ひと休みの後は声明の特訓が待っています。いつも声明の稽古は夜間にするのですが、今日は特別です。修二会の開白(かいはく=法会の初め)の一日間は「次第時(しだいじ)」と呼ばれる丁寧な声明の時導師(じどうし=声明のリーダー)を下の役が務めますのでその稽古です。
四職(ししき=上位の四役)もいますから緊張します。新入には「称揚(しょうよう)」というこれも特別丁寧な節回しで三日目に時導師を勤めることが待っていますのでこの稽古もします。「称揚」はいわば「修二会デビュー」ですから大変です。(なお、別火坊内部は一般の方の参観はできません)
修二会を詳細に記録した今駒清則写真集『南無観』についてはここをご覧下さい。
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