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近況 2008年11月


「細江英公の世界」展

会場の細江英公氏 2008.11.1  撮影:今駒清則

11月1日、11月になりました。今日から細江英公氏の写真展「球体写真二元論」が尼崎市総合文化センター・美術ホールで始まりました。「球体写真二元論」は「記録性と自己表現性は写真表現のうえでは、両者は融合したり独立したり、あるいは絡み合い、共存共栄しながら複雑多様な写真の表現世界を展開している。これを球体の両極に置いたとすれば、写真家は球体の上で自由自在に移動でき、どこでも止まることができるので、これによって未知の領域を探索できる。写真の表現はもっと自由なものである。これからも『写真への愛と尊敬』を胸に生き続けていくつもり(細江英公「球体写真二元論」から要約)」という細江氏の主な作品群を総覧できる貴重な展覧会です。

 会場には「初期作品」「おとこと女」「薔薇刑」「写真絵本」「鎌鼬」「抱擁」「ガウディの宇宙」「土方巽舞踏大鑑かさぶたとキャラメル」「妖精物語ルナ・ロッサ」「作品をめぐる人たち」「春本・浮世絵うつし」「胡蝶の夢:舞踏家・大野一雄」「死の灰」の主なオリジナルプリントが展示されています。オープニングセレモニーの後、細江氏による2時間ほどのギャラリートークがあり、関西の多くの写真家も聴講していました。11月22日には細江氏の「スライドレクチャー」が予定されていますのでどうぞお出かけ下さい。

コスモス

電車とコスモス 2008.11.1  撮影:今駒清則

 細江英公氏の写真展の後、写真家仲間と懇談。その足でカメラ散歩にでかけました。ちょっと遅いめなのですが私の好きなコスモスの撮影です。

キバナコスモスもあります 2008.11.1  撮影:今駒清則

 普通のコスモスとちょっと珍しいキバナコスモスが一面に咲いていました。

淀川の向こうは梅田のビル街 2008.11.1  撮影:今駒清則

 所は「十三摘み草苑」です。阪急十三駅南の淀川河川敷衛星写真地図に作られていて四季に花が変わります。ここでは咲いている花を自由に持ち帰ることができるようで、コスモスも所によっては摘み取られてかなり少なくなっていますが、まだ楽しむことができます。のんびりとした時間を持てました。


コンパクトデジタル一眼レフカメラ

4日、ちょっと風邪気味のようで大事をとってここ数日休んでいました。と言っても寝ていたわけではなく、休日でもあり出歩きは控えた程度です。それで更新が遅れてしまいました。

 今年初めにコンパクトデジタル一眼レフカメラを買っていろいろ試してきました。当然ですが仕事用に使うにはいろいろと問題はあるのですが、特定の使い方に限ればデジタル一眼レフカメラに劣らない機能があることがわかりました。まず小さいこと、軽いこと、なのでいつもどこでも持ち歩きできます。レンズ交換はできないので撮像素子にホコリがつかない利点があります。レンズ交換できるカメラのホコリ対策については頭の痛い問題なのです。それと近接撮影が簡単なこと、逆に手軽に超望遠が可能なこと、これは実に便利です。

 レンズ性能についてはメーカーでかなりバラツキがありますが、良いところを特定して使うようならこれも利点になります。レンズの歪曲収差(直線が歪んで写る)や、色にじみ、画面周辺光量の不足は全般に多めなのですが、これはパソコンで画像処理する時にほとんど修正できますので手間さえかければあまり問題ではありません。パソコンで修正できないのはレンズのシャープさと、画面周辺で像が流れるように写るレンズ自身の特性です。そこで各メーカーのレンズの性能を調べて見ました。

 と言っても各メーカーから取り寄せるのも大変なので、webに掲載されているカメラの実写テストのデーターを比較し、私の独断による性能評価です。ソースは「デジカメWatch」の「実写速報」に拠っています。

 今回はレンズのシャープさを中心に画質を判定しました。各機種相互に比較して画質の良いものから、●○△×の順にしています。検討したのは14倍から20倍ズームレンズの絞り開放時の画質で、最広角と最望遠の画角の中心部と周辺部を見ています。このコンパクトデジタル一眼レフカメラのレンズは一般のレンズのように絞りを絞り込んでいってもあまり画質が向上しません。レンズの焦点距離が短いせいもあって、F8付近以上に絞り込むと回折現象で画像がにじんでシャープさが無くなってきますので、どのカメラもF8以上の絞りはありません。開放絞りでの画質はそのレンズの素質を現していると考えても良いと思います。では各カメラはどのような結果だったでしょうか。

コンパクトデジタル一眼レフカメラの開放絞り画質

カメラ 望遠中央 望遠周辺 広角中央 広角周辺 評価
A お薦め
B お薦め
C お薦め
D × 普通
E × 広角向
F × 普通
G × 普通
H × × × × お薦めしない

 これはあくまでも画像のシャープさだけの評価です。カメラにはこれ以外に軽量さであったり、動画が撮れたり、高速分解撮影ができたり、高感度画像が良かったりとかそれぞれに特長を持っていますので、カメラを選ぶのに何を優先するかで評価は変わってくることと思います。まずは参考までに。


正倉院展と入江泰吉記念奈良市写真美術館

正倉院全景 2008.11.6  撮影:今駒清則

6日、いつもの奈良詣。墓参のあと東大寺へ。まだ紅葉には早いようです。そこですぐ近くの正倉院へ。「正倉院展」が開催中ですから今は見学の人がかなり来られています。

正倉院中倉と北倉部分 2008.11.6  撮影:今駒清則

 この正倉院は東大寺の正倉院にあった幾つかの正倉がただ一つだけ残されたもので奈良時代の建物です。一棟が3つの部屋になっていて、北倉、中倉、南倉と呼ばれています。北倉と南倉が校倉造、中倉は板倉造です。千年以上ここに納められていた宝物は東大寺から皇室に献納されていて、現在はこの倉ではなく収蔵庫で保管され、年に一度の曝涼(虫干し)の時に宝物の一部が奈良国立博物館で展示されます。いま丁度開催されていますので大仏さまに一礼して東大寺を抜け第60回正倉院展に行きました。入場にはいつも延々と並ぶのですが、今日は予想通りさほどでもなく入場できましたが館内は大混雑。それでもすべてをゆっくり見て次は高畑へ。途中の飛火野は雑木が紅葉して美しく少し撮影。高畑の入江泰吉記念奈良市写真美術館では「入江泰吉・工藤利三郎・みほとけたちの貌」写真展です。入江先生の仏像写真はなんと128点という膨大な展示。大型カメラによる精緻な描写は寺社で仏像を拝する時よりもはるかに実像としての存在を見せていて感動します。私が1960年代にこの撮影のお手伝いした時の作品もあり懐かしく見ました。なお工藤利三郎作品は28点です。見ごたえがありますのでぜひお出かけ下さい。


路傍の書 1

「大佛」 2008.11.6  撮影:今駒清則

7日、今日は立冬です。予報では寒くなる、ということで寒さに弱いコリウスを室内に入れましたがさほどでもないようです。外気温8度が続くと紅葉の時期だそうですが、まだ最低12度ぐらいですから紅葉はもう少し先のことでしょう。

 街道や寺社などを歩くと見事な筆跡の道標や標柱があって、それを恍惚として見入ることがあります。自身に素養が無いのでうらやましいのです。昨日の「正倉院展」にあった「正倉院文書」では祐筆が書き上げた文書に担当者が署名をしているものが展示されていましたが、それは祐筆の手とはまるで違って下手な(失礼)筆跡で親近感を持って見ました。

 写真は東大寺大佛殿の北東にある道標です。「右 大佛 二月堂」「左 二月堂」と刻まれていますが、良い字ですね。書いている筆の動きとひねりが見えるようです。これからも今までに撮影してある気に入った文字などを時々掲載したいと思います。


能の撮影

涌泉能の「楊貴妃」 大江能楽堂 2008.11.8  撮影:今駒清則

8日、今日は京都・大江能楽堂で喜多流の「涌泉能」。能楽堂へは一時間前には入って気分をなじませます。以前仕事で午前中は WCテニスの撮影、終了後その足で能楽堂へ駆けつけたことがあり、その時の能の撮影はいわゆる呼吸が合わずさんざんな結果だった経験があります。テニスも能でもプレーヤーの呼吸に私の呼吸を合わせながら写真を撮ります。スポーツの間合いと能の間合いはまったく違いますので、急には調整ができません。以来舞台撮影の時はその前に何かすることは避けるようにしています。今は展覧会など多く催されているので、能楽堂へ行く前に時間があって見たいと思うのですが、それで何かを引きずってしまうような気がして能楽堂へは直行するようにしています。

 今日の舞台は能「楊貴妃」高林白牛口二、狂言「二九十八」茂山あきら、丸石やすし、能「葵上」高林呻二。舞台写真はいずれここに掲載したいと思います。

ムクドリ 2008.11.8  撮影:今駒清則

 能が終わって烏丸通り衛星写真地図に出ると夕空にムクドリの群れが舞っています。しばらく見事な飛翔を眺めていると街路樹にみな降りてきました。その鳴き声のうるさいこと。道行く人もあきれてそれを眺めています。ちょっと撮ってみましたが木の葉に隠れるように止まっていてなかなか姿が見えません。一晩中鳴き過ごすのでしょうか。


堺文化財特別公開

水野鍛練所 2008.11.9  撮影:今駒清則

9日、日曜日。堺市で恒例の文化財特別公開が行われています。昨年も出かけましたが、今年も行ってみようと思っていたのに朝に小雨。それでも江戸時代から続く刃物の鍛練を見せていただける水野鍛練所工房が今日だけの公開ですので見学者の列に加わってきました。その後寺社巡りでもと思っていたのですが、少し黒い雲のお天気で写真にはあまり向かないので近くの史跡を一つ二つ見て帰りかけました。

コスモス 2008.11.9  撮影:今駒清則

 堺の中央を南北に通る紀州街道(大道筋)衛星写真地図に阪堺電車が通っています。「チン電」と呼ばれている路面電車がのどかに走っているのですが、その線路脇に好きなコスモスが咲いていました。道路の真ん中なのですが、このコスモスの咲いているところだけ道路コーンを並べて中央の一車線を車が通れないようにしているので、安心して近寄ってコスモスが見られます。堺市も粋な計らいをするものです。


義仲寺

10日、雨こそ降らなかったのですが黒雲におおわれて寒い一日でした。今日は「日本写真保存センター」の調査活動で大津市膳所衛星写真地図の写真事務所を高井潔氏と訪れて写真保存の状況を拝見させていただきました。膨大なネガやカラーフィルムがご家族の理解によって割に良いコンディションで保存されていて安心いたしました。

旧東海道の義仲寺 2008.11.10  撮影:今駒清則

 調査後に高井氏と懇談、氏は「民家」をテーマにされていますのでいろいろと参考になるお話をお伺いしました。その後私は旧東海道へ出て義仲寺(ぎちゅうじ)へ。すでに何回か行っているのですが、ほん近くでしたので立寄って見ましたが、月曜日は参観の休み日で閉門されていました。お寺が休日をとっているのは珍しいことです。この付近は木曽義仲が戦死した地でそのお墓があり、また義仲を慕った松尾芭蕉のお墓もあります。大坂で亡くなった芭蕉は義仲と同じところを墓所とするよう門人たちに言っていたようで、ここまで運ばれて埋葬されました。能楽でも「巴」「兼平」の舞台地で、壮絶な死を遂げた今井兼平のお墓も近くにあります。

芭蕉の実と雄花 義仲寺 2008.11.10  撮影:今駒清則

 義仲寺にある芭蕉の木に芭蕉の実と雄花がついているのが道路から見えました。あまり見ることのないものです。実はバナナのようですが種がぎっしり詰まっているそうです。寺の付近から見える比叡山や比良の山並みに時雨がかかって霞み、そこから吹き下ろす寒風が大きな芭蕉の葉を揺らしていました。

京阪・石山坂本線 2008.11.10  撮影:今駒清則

 薄暗くなった道を京阪電車の膳所駅へ。今までどこへ行くのにも自動車で行っていましたが、最近は交通法規無視の悪い車が激増していてヒヤヒヤすることが多く、何ヶ所かを経由しなければならない時は自動車を使いますが、そうでなければ電車やタクシーを使うようにしています。膳所に来た時はJR東海道本線で、帰りは京阪電車で、と電車での小さな旅を楽しんでいます。


中之島界隈

中之島・大阪市中央公会堂 2008.11.11  撮影:今駒清則

11日、今日もお天気が悪く、より寒くなってきました。まだ体が寒さに慣れていないので今が一番寒く感じるのでしょう。所用あって中之島に出かけました。大阪市中央公会堂の付近の桜の葉がほど良く色づいています。新しいビルがどんどん出来ていくので、写真を撮るのに方向によっては背景に邪魔になるのですが、まあビジネス街ですからしかたないでしょう。スケッチの名所ですからあちこちで絵描きさんたちが筆を走らせています。

ライオン橋 2008.11.11  撮影:今駒清則

 中央公会堂の近くの堺筋にライオンの石像がある橋衛星写真地図がかかっています。元は難波筋にあった公儀橋の「難波橋」でしたが、明治に一筋東の堺筋に引っ越してきました。ライオンは天岡均一の作品で大阪では「ライオン橋」と呼んでいます。

京阪・なにわ橋駅 右に中央公会堂 2008.11.11  撮影:今駒清則

 その橋の中ごろに京阪電車の新線・中之島線の「なにわ橋駅」ができました。真っ直ぐ行けば中央公会堂です。初めてなので地下にある駅の改札へも行ってみましたが大変に深いところにあり、昇りはエスカレーターがあるので良いのですが、下りは嫌になるほど階段を降りなければなりません。それに今まで無かった建物が中之島公園にできたのでまだなじめないのと、周辺が工事中だらけで、今のところはさんざんな中之島になっています。


足もとに

落葉 2008.11.12  撮影:今駒清則

12日、公園に落葉が散っています。今日は雲一つ無い快晴。ここ数日が曇っていたのでとても気持ちの良い一日になりました。

ドングリ 2008.11.05  撮影:今駒清則

 足もとにはドングリが風で吹き寄せられて集まっています。夜の空はオリオン大星雲も見えるほど澄み渡って秋も深まってきました。


満月

生駒山の月の出 2008.11.13 16:46  撮影:今駒清則

13日、今日は満月です。それと生駒山から月が昇ります。計算では生駒山山上の送信鉄塔の後からでなく右(南)から昇るはずです。しかも月の出が16時34分、日没が16時54分で、日月が東西に並びます。ですから夕陽が当たっている東の山から満月が昇るというなかなか無いシーンが期待できるのです。今日は小春日和でしたから過すには良かったのですが、風が無く地平付近はかなりかすんでいるので月の出が見えるかどうか心配しながらカメラを用意し待ちました。山の端付近は残念ながら見えませんでしたが少し昇ったところで何とか満月が見え、生駒山の鉄塔や山肌、夕空も夕陽に映えて赤い中に赤い満月が昇ってきました。もっとクリアな状況ならダイナミックな写真になったと思うのですが、こればかりは自在になりません。なお写真左端が山上の送信鉄塔です。

今夜の満月 2008.11.13 21:45  撮影:今駒清則

 夜は煌々と輝いて月光が鮮やかです。晴れわたった夜空に満月を撮影してもただ白い○があるだけですから、雲がかかって少し変化のある満月を撮影してみました。


目では見えなかったのですが

生駒山の月の出 2008.11.14 17:38  撮影:今駒清則

14日、今日も好天で暖かい日、室内の鉢花を外に出して日を浴びてもらいました。昨日よりもモヤっていてまた生駒山からの月の出撮影は危ない様子です。それでも月の出の時間、17時27分に生駒山の送信鉄塔の左(北)へカメラを向けておきました。生駒山はまったく見えませんし雲も厚いようです。おおよそ月が山の端から出ているだろう時刻から撮影を始めましたが何も写っていません。もちろん目にも見えません。少し続けるとカメラのモニターにほんのほんの僅か、薄赤い月が写りましたが、まだ目には見えません。それでも10分ほどして雲の隙間にぼんやりとした月が見えましたがすぐに雲に隠れてしまいました。それで撮影は終わりです。撮影データをAdobe Photoshopで画像処理し、無理矢理見えるようにしたのが上の写真です。画面右側に微かに送信鉄塔の明りがあるのがわかるでしょうか。目ではまったく見えなかったのですがこれも何とか引き出しました。普通なら掲載するような写真ではありませんが苦労して画像を引き出したので掲載します。昨日の写真と比べるとわかるのですが、遠い山から昇る月は一日でこれだけ場所が変わってくるのです。

 15日追記:月が昇る位置が一日で大きく変わるというのが、よく判別できない写真では分かり難いと思いますので、下に位置が分る写真を追加しました。大阪市側から見た生駒山衛星写真地図で中央が山上の送信鉄塔です。Google Mapの衛星写真地図では「航空写真」に切り替えて地表を拡大すると山上の送信鉄塔群がくっきり見えます

11月13日、14日の生駒山から昇る月の位置  撮影:今駒清則


航跡

航跡 2008.11.15  撮影:今駒清則

15日、日中はとても暖かったように思いますが20度位でしたので体が寒さに馴染んできたようです。昨日にも増してモヤったお天気で、夕方には雲も多くなり生駒山からの月の出撮影は難しく、またかなり北から昇りますので撮影はしませんでした。今夜の月の出の位置が北限で、明日からまた南へ移って行きますので、明夜は昨夜とほぼ同じ位置から月が昇るはずですが、お天気は下り坂のようですからどうなるでしょうか。月の出を諦めて西の夕焼け空を旋回する旅客機のライトを長時間露光で写してみました。


哀悼

空へ 2008.11.17  撮影:今駒清則

17日、仕事の途中に訃報のメールが入った。先輩で写真の同志ともいう写真家・濱岡收氏が旅立った。夕刻芦屋でのお通夜に参列。この1日の写真家仲間との懇談の中でお見舞いでも、と話していたところだったのだが。淋しくなりました。ご冥福をお祈りします。

 生駒山の月は昨夜、今夜ともに雲が厚くまったく見えませんでした。次の機会は12月14日。晴れてくれると良いのですが。


雪便り

白川郷の初雪 2001.11.27  撮影:今駒清則

19日、冷たい気流が日本列島を覆って各地から雪便り、飛騨の白川郷も雪景色になったそうです。写真は2001年の今ごろ、晩秋の白川郷を訪れた時、夜半から雪が降り出し運良く初雪となりました。夜明けを待って早々に撮影に出たのは当然です。初雪といえばなんとなく薄雪をイメージしますが、この辺りではしっかり降るのですね。写真はおなじみの所からの展望です。

 大阪近郊では気温が8度前後になりましたからこれから紅葉のシーズンです。ですが能楽写真家協会の写真展準備や会場詰めなどもあり、来週辺りから撮影行となるでしょう。


生駒山

生駒山 デジタル赤外写真 2008.11.20  撮影:今駒清則

20日、冷たい風が吹いて気持ちが引き締まります。お陰でクリアなお天気で遠望がきき、ついまた生駒山をデジタルカメラの赤外写真で撮ってみました。雑木の紅葉もあり、薄赤くなっている生駒山ですが、14日に掲載した生駒山とほぼ同じフレームにしてみましたので比較してみて下さい。同じ山ですが表現次第で随分と感じが違います。

 生駒山の西麓(大阪側)には活断層があり、その断層の東側(今の生駒山の大阪側)がグッと持ち上がって急峻な崖のある山になり、その後侵食されて今のような山容になりました。ですから大阪側は急な斜面になっていて、奈良側はなだらかになっているのです。

 明日から豊田市へ行きます。豊田市能楽堂のホールで22日(土)、23日(日・祝)に能楽写真家協会の「能楽写真展」があります。私は両日ともに会場にいますのでどうぞお越しください。


能楽写真家協会 能楽写真展

能楽写真展 豊田市能楽堂 2008.11.23  撮影:今駒清則

23日、21日豊田市へ。午後から能楽写真家協会・能楽写真展の豊田展を豊田市能楽堂のホールで杉浦賢次会員、能楽堂職員の方々と準備。22日、23日と終日杉浦会員と写真展会場。「能楽堂まつり」での企画で子ども連れのお客さまが多く賑わいました。

 私が出品した作品は1991年11月4日に開催された東京・喜多六平太記念能楽堂での「友枝会」、友枝喜久夫の「景清」の写真。名人・友枝喜久夫の能舞い納めの舞台でした。私が最も好み陶酔した演者です。どうしても撮影したかった「景清」でした。舞台の後、これも友枝喜久夫が大好きな友人の画家・松野秀世さんと夜遅くまで友枝喜久夫論を話しあったことを思い出します。友枝喜久夫さんも松野秀世さんもすでにこの世を去っていて、この頃は友枝喜久夫論を交せる人がいなくなりました。


小原の四季桜

小原 民家の軒先 2008.11.24  撮影:今駒清則

24日、和紙の里・小原(おばら、豊田市小原町、旧西加茂郡小原村)衛星写真地図の四季桜が見ごろとのこと、豊田市の友人、写真家・都築昇さんの案内で彼の四駆に乗せていただいて撮影に向かいました。生憎のお天気でお昼から雨になるとの予報。曇り空で桜の撮影には向かないのですが、良い機会なのでお願いをしました。

(以下の場所、由緒などは小原観光協会のホームページを参照下さい)

小原支所の四季桜と銀杏 2008.11.24  撮影:今駒清則

 まず松月寺で鮮やかな紅葉と四季桜を撮影。次に「四季桜まつり」で賑わう小原支所周辺に咲く四季桜を撮影。銀杏の黄色に薄赤い桜という珍しい取り合わせです。

小原 西運寺の四季桜と紅葉 2008.11.24  撮影:今駒清則

 続いて西運寺、紅葉と四季桜の美しい色模様です。ここの桜は山あいにあるせいか丁度見頃で、ゆっくり境内を散策しました。

小原 西運寺の四季桜 2008.11.24  撮影:今駒清則

 四季桜は小さい花弁の薄赤い桜で、春に咲き、また秋から冬にかけて咲き続ける二季咲きの桜です。

小原 西運寺の六地蔵さん 2008.11.24  撮影:今駒清則

 西運寺の片隅に二組の六地蔵さんが並んでおられました。頭上にはシダレ桜がありますので春が待ち遠しいことでしょう。

小原 西運寺の四季桜と紅葉 2008.11.24  撮影:今駒清則

 参道から谷間を見るとここも四季桜と紅葉の楽園でした。

小原 市場城(大草城)址

小原 市場城址案内板(クリックすると大きい画面が開きます)

 西運寺から少し行くと市場(大草)城の址があります。詳しい案内図看板がありましたのでお借りして掲載します。城郭に興味のある方は案内板の写真をクリックすると大きい写真になりますのでご覧下さい。

小原 市場城 2008.11.24  撮影:今駒清則

 市場城は鱸(鈴木)氏の居城で天正年間に現在のように改修された山城です。石垣は本丸の一部に見られるだけで、あとは山を削って急斜面を造り防御しています。写真は二の丸付近の空堀から本丸の石垣を望んだところで、所どころに四季桜が植えてあります。

小原 市場城の堅掘 2008.11.24  撮影:今駒清則

本丸の西側には山の斜面を堅に掘った防御用の畝状竪堀が見られます。その状況が良く保存されていて珍しい遺構です。

小原 市場城の四季桜 2008.11.24  撮影:今駒清則

 本丸からは三河の山々が望めます。写真は右端の本丸から急峻な斜面の下に二の丸付近があり、ここも四季桜が満開でした。城郭の縄張りがわからない山城が多い中で、幸いにもこの山城は樹木を伐採し、雑草もきれいに刈り取られていましたので規模までもはっきりわかる素晴らしい山城でした。

 その後も四季桜を求めて廣圓寺、川見(せんみ)四季桜公園(川見薬師寺)などへ向かいましたが雨降りとなり、そこで引き上げ都築さんとお別れし帰阪しました。


東大寺二月堂界隈

東大寺 二月堂の秋 2008.11.26  撮影:今駒清則

26日、二月堂付近が最も美しくなる頃です。いつもの奈良詣、紅葉の東大寺境内の散策です。平日ですが観光客や修学旅行生、アジアからの観光客も多く混雑していました。

 大湯屋から土塀の続く裏参道を上ります。大佛殿から上の寺域衛星写真地図は上院と呼ばれ、総国分寺である東大寺の前身の金鐘寺、福寿寺などの古代寺院があった所とされています。なおこの12月16日にはこの上院にある法華堂(三月堂)の秘佛・執金剛神立像、開山堂の秘佛・良弁僧正坐像俊乗堂の公開があります。

東大寺 二月堂南石段  2008.11.26  撮影:今駒清則

 二月堂へのお参りに上がる南側の石段には下と上の数段に美しい模様が刻まれていますが、踏んでいながら気がつく人は少ないようです。ここは修二会の時、下にある若狭井へ呪師らの練行衆がお水取りに下る所でもあります。

東大寺 山手観音堂と大佛殿 2008.11.26  撮影:今駒清則

 二月堂に参拝、北側にある手水鉢から上に登る所に下の写真の「まんなおし地蔵尊」の標石があり、その上に遠敷神社があります。若狭の遠敷明神がお水取りの若狭井へ送水していると伝えられてお祀りしています。修二会の始めと満行には練行衆が祈りを捧げるお社です。さらに登ると山手観音堂に出ます。二月堂が古来から観音堂と呼ばれていますので、このお堂は山手観音堂と言い毎月18日に月例法要があります。二月堂の直近ですが観光の方が来られる事はなく、この二月堂の裏手一帯にあるミニ西国三十三所観音霊場巡りの参詣の方だけが知る所です。なお二月堂は7ヶ所ある西国三十三所観音霊場の番外札所です。(番外札所は他に高野山、善光寺、四天王寺、法起院、元慶寺、花山院です。)

東大寺 まんなおし地蔵尊の標石(写真左)と
まんなおし地蔵尊のお顔(写真右)  2008.11.26  撮影:今駒清則

 

 山手観音堂の上の道を北へ少し行くと谷間にまんなおし地蔵尊があります。まんなおしとは萬(よろず)の運を直し良くしてくださるということですのでお参りする方が多いそうです。その地蔵尊は薄く彫られていてそのお姿はよく見えないのですが、それでもお顔と胸の衣紋などはなんとなく分かります。

 この辺りは春日山の中腹になり、先の上院とこの谷の北側の丸山付近にあったであろう古代寺院はいまだに謎のままですが、それだけに静まり返った山中には霊気がただよっているように思えるところです。


路傍の書 2

天理市櫟本の道標  2008.11.26  撮影:今駒清則

 

27日、昨日の奈良詣の後農村歩きに行きましたが、その途中で立寄った道標です。私が昔から好きな字の一つです。国道169号線の西名阪自動車道・天理ICに近い和爾下神社前交差点衛星写真地図の赤い鳥居の元にあります。「左 なら道」と筆太で石柱からはみ出る力強さです。側面は「是より堂ノうち柿本寺/人丸神像并寶物あ里」と同じ手でこれも堂々とした書です。

 この道標のある和爾下神社参道を東へ、山に向かって歩くと300mほどで北側の古墳の上に古社の和爾下神社と柿本寺伝承地があります。さらに東北約1Kmには和爾の村があり、古代の名門豪族の和爾氏ゆかりの里と伝えています。道標は天理市櫟本にありますが、櫟本から出た柿本氏の人麻呂は石見で亡くなった後、ここに遺髪を埋めたと伝承されて歌塚があります。この付近もなかなかいわれの深いところですのでまたゆっくり歩いてみたいものです。


テンキ予報

迫り来る雨雲  2008.11.29  撮影:今駒清則

29日、続いていた撮影やその他の仕事で溜まっている所用を片付けているのですがなかなか終わりません。実は今日も紅葉の撮影に出かけたかったのですが、お昼から低気圧のせいで天候が荒れる、という天気予報を信じて控えたのですが、夕方までは良いお天気だったのでちょっとがっかりです。それでも予報よりは遅れて夕方から強風。大陸、半島から吹き下ろしている寒気団は偏西風で止まって関西までは下ってこれず、それで日中はあまり寒くなかったのでしょう。それでも多少こぼれてきて南からの温かい大気とぶつかって荒れ、夜半には強風や雷さんが来るかもしれません。明日の日曜日は低気圧が北へ行くようで北日本は要警戒ですが、関西地方のお天気は回復し少し寒いですが行楽には良くなるのではないかと思います。ただ今夜の風で紅葉が傷んでしまわないか心配です。なおこれは素人のテンキ予報ですからアテにしないでください。

 ホームページの展覧会の案内を変更しました。いつもご案内をいただいている所以外も掲載しています。私が行ってみたいと思うテーマで、備忘録ですからまったく恣意的な選択です。


30日、日曜日。昨日の素人テンキ予報は当たったような当たらなかったような結果でした。寒気はあまり張出してこなかったようでさほどの寒さはなく、良いお天気の日曜日でなによりでした。原稿書きでちょっと詰まったので気分転換にカメラを持って近くの公園へ散歩、ついでに紅葉に偏光フィルターを使用した場合と、しない場合の例を撮影してみました。

偏光フィルターを使う 2

 メタセコイア  2008.11.30  撮影:今駒清則


A 偏光フィルターなし


B 偏光フィルター使用

  まず偏光フィルター使用の撮影は順光線で写すのが基本です。斜光線でも良いのですが画面に空が入った場合は上の写真のように、太陽に遠い方の空が極端に暗くなってムラのような感じになります。空に遠近感が生まれるので上手に利用すると効果的になります。逆光での偏光撮影は水面とか道路とかの水平面に対してしか効果がありませんので普通の風景ではあまり使いません。

 サクラ  2008.11.30  撮影:今駒清則


C 偏光フィルターなし
D 偏光フィルター使用


E Cの写真をDの空に近づけた場合
 

 偏光フィルターを使用するとDのように青空が暗く写りますので木の葉が相対的に明るくなって引き立ってきます。また葉の表面でギラギラと反射する光を吸収しますので木の葉本来の色が良く出ます。しかし反射が取れると艶が無くなり、質感が変わってきますので、フイルターを回転させて偏光効果の調節をした方が良い場合もあります。サクラの写真では偏光フィルターが無い場合はCのように葉のテリが強いことがよくわかります。なおEの写真は偏光フィルターなしで撮影したCの写真をただ暗くしてDの空の明るさに近づけたものですが、木の葉がそれだけ暗くなってしまってDの偏光効果がよく利いていることがわかります。

 イチョウとメタセコイア  2008.11.30  撮影:今駒清則


F 偏光フィルターなし


G 偏光フィルター使用

 イチョウの葉はさほど光沢は無いのですが、それでも塊として見ると葉の表面の反射光で本来の色が多少失われているのがGの写真と比較するとわかります。

 偏光フィルター撮影はすべてのシーンに効果があるとは言えませんが、それでも紅葉の撮影ではかなり効果があることが写真の例からわかります。偏光フィルターは他に比べて高価ですから、大きな口径の偏光フィルターを購入し、それぞれのレンズに合うアダプターを取り付けて使えば一つの偏光フィルターで済みます。私はガラスフィルターの場合は77mm偏光フィルターにステップアップリングを各レンズの口径に合わせて取り付けて使っています。これにはまた別な理由もあります。偏光フィルターはもともとニュートラルなはずですが、個体差や経年変化でフィルター自身にわずかに色がついていて、それぞれのレンズ用の偏光フィルターを取り付けて撮影するとカラーバランスがレンズごとにバラついてしまいます。一つの偏光フィルターを使うことでそういったことがなくなる利点もあります。


10月 08年11月 12月