このサイトにあるすべての写真と文には著作権や肖像権があります。無断転載をお断りします。   写真家 今駒清則のお知らせページ HOME

近況 2008年10月


台風15号

動物の雲 2008.10.1  撮影:今駒清則

10月1日、いつものようにベランダの植木鉢を蔭に移して用心していたのですが、何事もなく台風15号が通りすぎました。期待していた台風の雲も現われず余り変化はありませんでした。太平洋の高気圧が南下したために台風も南へ下がり影響が少なかったようです。それで列島は冷え込みました。「富士山が初冠雪」と朝日新聞は伝えています。


大仏殿と生駒山に日の入り

秋の夕陽 2008.10.2 17:27  撮影:今駒清則

2日水門会の会議で奈良へ。来年5月の連休中に奈良市美術館で開催する「水門会写真展」の打合せです。終了後に入江先生の墓参、その足で東大寺境内へ。講堂跡の紅葉はまだまだ先で、真っ直ぐ二月堂へお詣りします。二月堂の舞台からは大仏殿の大屋根の向こうに奈良の街並みと生駒山が見えますが、3月の修二会(お水取り)の時にその生駒山に日が入ります。計算すると今日あたりが3月と同じように秋の日の入りになりますので日没まで待ちました。結果は掲載写真の通りです。春と秋の数日しか見られない光景です。


正倉院

正倉院の白壁 2008.10.2  撮影:今駒清則

3日、昨日の奈良では午前中に正倉院の「開封の儀」がとりおこなわれました。今日の奈良新聞記事「・・・約2カ月かけて宝物を点検、調査し、奈良国立博物館の正倉院展に69件が出陳される。勅使の川上恭一郎侍従や上野道善・東大寺別当ら17人がちょうずで手や口を清めた後、一列で階段を上って西宝庫に進んだ。中に6つの扉があり、それぞれ麻縄を切って勅封を解いた。・・・」と報じています。そして待ちかねた「第60回正倉院展」が25日から奈良国立博物館で開催されます(第60回正倉院展出陳宝物一覧・奈良博)。なお正倉院外構の見学は無料でいつでもできます(ただし土日祝年始年末は休み。正倉院展期間中は無休。詳しくは宮内庁・正倉院ホームページをご覧下さい)。


動物雲の撮影

左:最初の撮影  右:43秒後に撮影  撮影:今駒清則

左:1分12秒後に撮影  右:2分37秒後に撮影  撮影:今駒清則

5日、日曜日。ここに時々掲載する雲の写真のうち、動物などに見立てた写真があるのですが、これでなかなか撮影が難しいのです。撮影する技術は何もいらないのですが、面白い形の雲を発見して撮影するタイミングが遅くなると面白さが無くなってしまったり、違ったものになってしまうのです。ほとんどの場合発見した時がベストで、秒単位で悪くなっていくことが多いのです。上の写真は今日のお昼に見かけた雲ですが、見つけた時から撮影するまでまでにおよそ10秒弱かかっています。何の形に見えるかは見る方の自由ですが、私が面白いと思った形は最初の写真ではまずまず写っています。その後少しずつ形が変わって行き、1分後には別な形になり、2分半後には消滅しかかっています。待っていて形が良くなるということはめったにありません。そのために雲専用のカメラを手近に用意しておいてすぐに撮影できるようにしています。ほんの一寸でも手間取ると遅れて面白さが無くなるのです。

 今日は低気圧の通過で厚い雲が覆い終日雨が降りました。それでも時々雲間にこのような雲が現われたので撮影したのですが、普段は快晴の青空に浮かぶ積雲(わた雲)がいろいろな形を創ってくれるので良く撮影します。同じような形をしているようでも全て違いますし面白さもさまざまです。その形から連想するものは動物が多いのですが、時には人の顔に見えたりもします。ただこうやって連想したり想像したりするものがこの世の中に実在するものだけで、実在しないものに見立てることができない、という人間の創造力の限界ということを感じることがあります。昔から「火星人」を想像した絵がいろいろありますが、すべて人間状のもの、動物状の姿ばかりです。火星は地球と全く違う環境ですから、とんでもない形をした「火星人」がいても(いればの話ですが)不思議ではないと思うのですが、残念なことに人間は実在するものの中でしか想像力を働かすことができなくてどうしても人間や動物状になってしまうようなのです。そこを超えると偉大な芸術家になれる、のかもしれませんね。


美術シーズン

オフイスビル  撮影:今駒清則

7日、トップページの左にご案内を頂いた美術展などを掲載しています。季節柄かなりご案内を頂くのですが、今の体裁では掲載数が限られていて、それでもだんだんと下に延びてしまい、どうしたものかと思案しています。「こよみ」と共に、出かけようとする美術展を私が忘れてしまわないように、というのが掲載のきっかけなのですが、別ページを作成してガイドページのようになるのも目的と違いますし、ハテどうしましょう。


飛騨路へ

飛騨川 2008.10.8  撮影:今駒清則

8日、早朝発のJR特急「ワイドビューひだ」で飛騨・高山市へ。美濃太田衛星写真地図を過ぎると車窓に飛騨川沿いの渓谷美が続きます。今日は快晴なので山の樹々から立ち昇る霧は見られなくて残念ですが、飛騨川の水は青く深く澄んでさわやかです。

高山 櫻山八幡宮拝殿 2008.10.8  撮影:今駒清則

 今回も高山市衛星写真地図の映像作家・古滝雅之氏の出迎えをいただいてご自宅へ。数日お世話になります。明日からは「秋の高山祭」高山市観光情報が始まります。その祭の中心になる櫻山八幡宮へまずは参拝。今は静かですが明日は歩くのも不自由するほど混雑することでしょう。

高山 大新町の民家 2008.10.8  撮影:今駒清則

 屋台や御神幸が巡る町内を一周りしてみました。観光客で賑わう上三町衛星写真地図の伝統的民家群と違って、明日から秋の祭が行われる下三町界隈衛星写真地図は静かな通りですが、まだ祭の気配はまったくありませんでした。それでも大新町の日下部民藝館の隣にある「豊明臺」屋台の「当番飾」のところだけに祭提灯が出ていました。「当番飾」はお宮さんから各町内に御分霊を頂き、民家に設えてある祭壇に神饌を供えてお祀りするものですが、今日はまだ戸が立てられています。

高山 宮川の夜 2008.10.8  撮影:今駒清則

 夜、ライトアップをしているとのことで宮川にかかる中橋高山市観光情報・観光マップへ、高山陣屋の前の橋で、春の祭では屋台が渡り賑わう高山の代表的な橋ですが、ここも川音がするだけで高山の町は静まりかえっていました。


秋の高山祭 9日

高山祭 祭の朝 八幡町 2008.10.9 7:37  撮影:今駒清則

9日、祭の朝、町内に提灯と「すだれ」がかけられて華やいだ街並みになりました。祭に参集する人々が櫻山八幡宮前の参道へ向かいます。

高山祭 「豊明台」の「当番飾」 2008.10.9  撮影:今駒清則

 昨日は戸が立てられていた「当番飾」も開けられていました。

高山祭 曳き揃えが始まる 2008.10.9 8:51  撮影:今駒清則

 9時頃に櫻山八幡宮前の表参道(記念道路)に各町の屋台が曳き揃えられ、夕方まで披露されます。「布袋臺」の屋台だけは神社境内に入り「からくり」を披露します。来年までには参道の電柱が撤去されるそうで、景観はさらに良くなることでしょう。

高山祭 「神楽臺」 2008.10.9  撮影:今駒清則

高山祭 「豊明臺」 2008.10.9  撮影:今駒清則

 最も豪華な屋台は「豊明臺」でしょうか。屋台の各所に見事な彫刻があります。それぞれの屋台に工夫があり、飛騨人の造形力と美意識の確かさをゆっくり見ることができます。(参考リンク:高山・祭屋台保存技術協同組合

高山祭 宵宮の巡行 2008.10.9  撮影:今駒清則

 夕闇が迫ると屋台に提灯がつけられて「神楽臺」を先頭に町内を巡ります。ゆっくり、ゆっくりの曳行で、奏でられるお囃子もゆったり。屋台の燈がゆらめいて古い民家の白壁が映えます。高山の中心を通る安川通りに屋台が並べられると獅子舞を奉納、その後桜橋へ進み、ここでも獅子舞が舞われ、屋台は曳き別れて各町内へ帰ります。


秋の高山祭 10日

 高山祭 櫻山八幡宮拝殿の神事 2008.10.10  撮影:今駒清則

10日、高山祭の朝は早い。櫻山八幡宮の神前で早朝奉納する「闘鶏楽」や「獅子舞」の子どもたちは6時前に起きて準備をします。拝殿では各町の諸役が参集して神事を行い、神職が御霊を神輿にお遷しして各町内を巡る御神幸になります。

高山祭 屋台の曳き揃え 2008.10.10  撮影:今駒清則

 昨日と同様に参道には屋台が曳き揃えられて朝日に煌めいています。その脇を御神幸の長い行列が静々と進んで行きます。今日も快晴で屋台の周りは祭見物の人々でいっぱいです。

高山祭 「布袋臺」のカラクリ人形 2008.10.9  撮影:今駒清則

 神社の境内では「布袋臺」の屋台で一日2回カラクリが演じられます。屋台の上で二人の「唐子」がブランコ状の「綾」を回転して飛び移って行き、最後はそこから離れて「布袋」の肩に乗る、という驚異的な技のカラクリで文字通りの「離れわざ」、36本の引綱を4人で操っています。

高山祭 「布袋臺」カラクリの「唐子」 2008.10.10  撮影:今駒清則
> > >
> >

 「唐子」が「綾」を渡って行く一部を連続写真でご覧下さい。

高山祭 町内でのカラクリ披露 2008.10.10  撮影:今駒清則

 「布袋臺」は他の屋台と違って午後の演技が終わると下一之町へ帰り、町内でもカラクリを披露します。人々は屋台を取り囲んで道路いっぱいに座り込み演技を待ちます。多分これが昔ながらの姿なのでしょう。

高山祭 「獅子舞」 2008.10.10  撮影:今駒清則

 御神幸の行列の前に町内の家々を「獅子舞」が訪れて舞われます。獅子の胴幕はとても意匠が良く、飛騨一円の「獅子舞」はほとんどこれと同じ意匠です。

高山祭御神幸 日下部民藝館前の神輿 2008.10.10  撮影:今駒清則

 朝出発した御神幸の行列は安川通り高山市観光情報・観光マップの北側の町々をくまなく巡り、夕闇が迫るころ櫻山八幡宮に御還幸となります。またその頃に屋台も各町内へ帰って行きます。高山では祭の日に「傘」「提灯」を門口に、軒下に「すだれ」をかけるのが所習わしです。

高山祭 櫻山神社境内の「獅子舞」 2008.10.10  撮影:今駒清則

 還幸されると薄暗くなりかかった櫻山八幡宮では最後の「闘鶏楽」と「獅子舞」が延々と舞われて祭の終わりを惜しみます。


高山から京へ

飛騨の山霧 2008.10.11  撮影:今駒清則

11日、朝から雨模様です。祭の間が好天で結構でした。提灯やすだれの祭景色もハレの日だけのこと、あれだけの雑踏もどこかへ行って、静まり返ったいつもの櫻山八幡宮。参道にも町内もゴミ一つ無く美しい街並みのすがすがしい朝でした。高山はこれから紅葉を迎え、やがて冬ごもりです。

 お世話になった古滝氏に送っていただいて高山駅からJR特急「ひだ」に乗車、高山線で名古屋に向かいます。途中の飛騨の山並みは私の好きな霧が立ち込めています。いつものように車窓から撮影。町に近づくと電線が邪魔になりますが山中はさほどのこともなく移り変わる景色に熱中です。

 名古屋から新幹線で京都へ。午後に岡崎の京都観世会館で「茂山狂言会」の撮影。三世千作の二十三回忌追善で茂山家総出で大曲が演じられます。「二千石(じせんせき)」は茂山千作と千之丞、「通圓(つうえん)」は茂山千五郎、七五三、千三郎、小舞「祐善(ゆうぜん)」は茂山忠三郎、「木六駄(きろくだ)」茂山正邦、宗彦、茂、あきら、という豪華番組。千作を始めとするそれぞれの達者なキャラクターで良い時間を過ごしました。

 夜、大阪では年に何日しかないと思えるほどに空が澄み渡ってすばらしい星空でした。


大和の農村歩き 6

ちょっと傾いているポスト 2008.10.15  撮影:今駒清則

15日、久しぶりに大和国中(やまとくんなか)の農村歩きです。国中とは奈良盆地あたり衛星写真地図を言い、条里に沿った農地へは吉野川から水を引いて田畑をうるおし、やがて大和川に流れ込みます。村々は例外なく集村で一塊となって環濠を持つ村が多くあります。防御的な形態の姿は中世以来いまも伝えられて、村内の道は曲がりくねって狭く、それでも今は軽自動車は通れるほどには広げられていますが露地も多く散策には快適です。

遠くに二上山が望めます 2008.10.15  撮影:今駒清則

 今年は豊作です。台風もなく順調に育ち、重い稲穂が垂れて収穫の季節を迎えました。

稲藁の行列 2008.10.15  撮影:今駒清則

 最近の稲刈りは機械で刈り取ると同時に籾が袋詰めにされ、葉・茎は砕かれて田に撒かれてしまい、写真のような景色が少なくなりました。いま大和は秋祭の最中です。

十五夜 2008.10.15 17:57 撮影:今駒清則

 夕、澄みきった空に十五夜の月が輝きました。


「読者の新聞写真」掲載

掲載写真  撮影:今駒清則

16日、朝日新聞大阪本社版16日朝刊の「読者の新聞写真」9月分に、9月5日のゲリラ豪雨の時に撮影した写真が掲載されました。撮影後新聞社にメールで写真データをお送りしたものです。タイトルは「冠水でも新聞配達」。


生駒山から昇る月

生駒山上の寝待月 2008.10.17 18:57  撮影:今駒清則

17日、待ちかねていた生駒山山上の送信用鉄塔衛星写真地図の背後から月が昇る日です。今夕は霞んでいて生駒山も見えず、雲も厚いようであきらめていましたが、それでも方向の見当をつけてカメラをセットし待っていました。18時45分が月の出ですが山上には10分ほど遅れて見えるはずです。山の端がほんのわずか薄赤くなり、そこから撮影を始めました。山の端におぼろげながら月が見えましたが、送信塔と重なっているかどうかまでは判別できません。それでも昇るにつれて少しずつはっきりとしてきましたが大気が濁っているので真赤な月です。撮影後の写真のデータはほとんど黒い画面でしたが、画像処理でなんとか解るところまで引きだしました。赤い月もなかなか迫力ありますね。


大和の農村歩き 7 今井町の秋祭

今井町 高木家と中尊坊通 2008.10.18  撮影:今駒清則

18日、「大和の農村歩き」と表題はありますが、今回は「農村歩き」でなく「町歩き」です。奈良県橿原市の今井町(衛星写真地図)は寺内町から環濠自治都市へ、そして「今井札」を発行するまでの商業的発展を遂げ、大火にも遭うことなく町内には江戸時代の商家や長屋が半数以上もあり、環濠内にはビルらしきものは一つもない、日本では希有な集落です。
 
(今井町の詳細は橿原市ホームページ・今井町パンフレットをご覧下さい)

今井町 修復中の民家 御堂筋 2008.10.18  撮影:今駒清則

 今井町は南北約300m、東西約600mの方形の環濠に囲まれた町内とその周囲に、979所帯、2.412人(2008年現在)が暮らしています。ここには18の重要文化財、県市指定文化財の伝統的な商家などがあり、また普通の長屋も多くあります。一部には工場や現代家屋も混じっていますが、圧倒的に旧家が多く、しばらく町を歩いているとタイムスリップしてしまい、今井町から一歩外に出てマンションやビルが見えると不思議な感覚を覚えます。町並保存には非常に熱心で、家の修復には条件はあるものの最大1千万円近い助成があるそうです(詳細は橿原市ホームページ・まちづくりをご参照下さい)。今のことですから窓枠はアルミサッシ、自動車の車庫などもありますが、それぞれ工夫して景観を壊さないようにしています。このあたりも興味深いのでいずれレポートをしてみたいと思います。

今井町 だんじりのお祓い 春日神社 2008.10.18  撮影:今駒清則

 今年の秋祭は18日、19日です。町の南西隅に位置する春日神社境内で2基のだんじりがお祓いを受けてから町内を曳行します。だんじりは岸和田と大差無いのですが1基には龍頭がついています。これを1号車、2号車と呼んでいます。もっと風雅な名前だったら良いのに、と私は思うのですが。なおこの祭には神輿の御神幸はありません。

今井町 環濠を曳行する1号車 2008.10.18  撮影:今駒清則

 1号車と2号車の曳行順路はそれぞれに別々で、出会うことが無いようになっています。かっては10数基のだんじりがあったようですが喧嘩が絶えず、良いもの2基を残して売り払ってしまった、と古老が話してくれました。

今井町 豪商・河合家の前を曳行する2号車 2008.10.18  撮影:今駒清則

 今日は主に2号車の順路でそれぞれ特徴のある町家や通りで待ち受け、町並とだんじりを撮影してみました。この祭には警備のお巡りさんの姿は一切無く、さすがに自治都市であった名残?なのか、自主的な運営ですが、観光客も無く、町内は道が狭い上に隅切りをしていないので自動車の通行はほとんど無く、交通整理の必要はまったくありません。

今井町 西光寺、蓮妙寺前を行く2号車 2008.10.18  撮影:今駒清則

 だんじりの綱を曳くのは子どもたちです。その横にはお母さん方がついていて携帯電話カメラでしきりに我が子を写します。だんじりの屋根には大工方が乗り指揮をしますが、巡行はゆっくりゆっくりですから大工方ものんびりしています。町内の電線はかなり目立たないようにされていますが、そのうちに完全に無くなるよう計画しているそうです。


19日、日曜日。京都の金剛能楽堂で「豊春会秋の能」。「野宮」豊嶋三千春、「碇潜」豊嶋晃嗣を撮影させていただく。「碇潜」は稀曲なのに先月の金剛定期能に次いでの連続上演。珍しいことです。


生駒山の月出 2008.10.20 22:03  撮影:今駒清則

20日、月の出。北へ行った月がまた南へ下ってきて、再び生駒山の送信鉄塔近くから昇るはずなのですが、残念なことにまたも霞んでいたのと、わずかに鉄塔の左側の「生駒山上遊園地」衛星写真地図から昇りました。画像処理で無理矢理になんとか見えるようにしましたが。またの機会を待ちましょう。


秋の長雨

夜霧の生駒山山頂  2008.10.23   撮影:今駒清則

23日、良いお天気が続いたかと思えば雨が降り続いています。幾つかの撮影計画は延期。特に期限はないので良いのですが、25日はまたも祭取材をしたいので、どうにか晴れて欲しいと願っています。雨の合間に生駒山が見える時があり、山頂に霧がかかっていました。


上野天神祭 1

上野菅原神社 拝殿  2008.10.25   撮影:今駒清則

25日、幸いにも前日まで降り続いていた雨があがったので早朝から三重県の伊賀上野衛星写真地図に出かけました。23日、24日、25日と菅原神社の天神祭で今日は本祭です。まずはその菅原神社へ参拝。行列をつくる賑わいです。菅原神社の通りの本町通り(大和街道・伊賀街道)と銀座通り(東之立町通り)には数えきれないほどの露店が立ち並んで、通りの商店はほとんどお休みです。

上野天神祭 だんじり  2008.10.25   撮影:今駒清則

 祭の巡行は「御神幸」の行列に続いて、この祭の最大の呼び物「鬼行列」、続いて「印(しるし)」と「だんじり」の曳行になります。

上野天神祭 紺屋町「鬼面」の展示  2008.10.25   撮影:今駒清則

 この「鬼行列」の鬼たちがつける面は能面が多く、また行道面なども混じります。今回の取材はこの能面の役目がどうなのかを見るためです。(続く)

(この項につきましては内容が多く、すぐに全体を掲載できませんので今後徐々に追補してまいりますのでご了承下さい。)


26日、日曜日。朝から雨降りです。昨日の上野天神祭はその日だけがお天気が良く幸いでした。

 今日は京都の「金剛定期能」です。秋の名曲「野宮」宗家・金剛永謹、狂言「鐘の音」茂山七五三、宗彦、やすし、能「鵺」宇高通成でした。「野宮」は先週も見ています。金剛流の同曲は他流より型も多く、情緒と怨念、そして哀愁が漂うもので、今日もなかなか良い舞台でした。


中之島界隈

京阪・大江橋駅と堂島川 左端は日銀  2008.10.29   撮影:今駒清則

29日、今年は珍しく祭の取材が続きましたが伊賀上野の天神祭で一段落しました。ここ数日は雲も多彩で雲の撮影をしたり、デジタルカメラのレンズを購入したのでそのレンズテスト、またそれと比較するのに手持ちのフィルム用のレンズもテストしたり、思いついて赤外線撮影のテストをしたりと結構忙しくしていましたが、今日は所用あって大阪・中之島衛星写真地図へ出かけました。用事の帰りにこの19日に開通した京阪電車・中之島線の駅を見物。とりあえず淀屋橋駅近くの大江橋駅だけ見てきました。この駅は中之島の堂島川沿いの地下にあり、堂島川にはり出したかたちで遊歩道などができています。この辺りは江戸時代に諸藩の蔵屋敷が立ち並んでいたところで、堂島川から蔵屋敷へ船入して荷を揚げていました。大江橋駅横の日本銀行付近は水戸藩、島原藩、金沢藩、松山藩の蔵屋敷があった所です。蔵屋敷については大阪市文化財協会が広島藩大坂蔵屋敷(田簑橋南詰西側、阪大病院跡。国立国際美術館北付近、衛星写真地図)を発掘調査し詳しい報告書が出ていますが、概要は「現地説明会資料」(PDF)で見ることができます。諸国と大坂とを船で結んでいた所に、今度は京都と結ぶ地下の鉄道が新しくできました。ですが新しいものにはあまり興味がわかなかったので駅を一通り歩いて地上へ。

ギンナン  2008.10.29   撮影:今駒清則

 御堂筋のイチョウの葉が少し黄ばんできてギンナンがいまにも落ちそうになっています。もう少しすると最も美しいイチョウ並木の御堂筋になることでしょう。


デジタルカメラで赤外写真

30日、ちょっとテストをしたデジタルカメラでの赤外写真撮影をご紹介します。赤外写真の撮影というととても難しそうに思えますが実に簡単にできます。撮影の基本は赤外線だけを透過するフィルターをレンズの前につけてデジタルカメラで撮影し、撮影された写真を見やすいようにパソコンで調整します。

 今回のテストでは効果が良くわかるように、約22Km離れた遠方の生駒山を400mmレンズ(フルサイズでは600mm相当)で撮影しました。写真12のように薄曇りの日で山肌は霞み肉眼でもまったく見えません。

デジタルカメラの赤外効果 2008.10.30  撮影:今駒清則

1 普通撮影のカラー写真 2 1をモノクロにした写真

3 IR90フィルターを使用して撮影したカラー写真 4 3をモノクロにした写真

 IR90赤外フィルターをつけて撮影すると3のように山肌がくっきりと写るようになります。可視光はフィルターを透過できず、山の木の葉や建物が反射する赤外光だけがフィルターを透過してデジタルカメラのCCDやCMOSの撮像素子に届きます。樹木の広葉樹は明るく、針葉樹や日陰は暗く写ります。カラーでは見にくいために4のようにモノクロにし明暗やコントラストを調整して仕上げます。

 IR90の赤外フィルターは真っ黒なフィルターで、肉眼でフィルターを透かして見ても可視光は透過しないため何も見えません。太陽を見ても薄青い太陽が少し見えるだけです。従ってこのフィルターをつけてファインダーを覗いても真暗で何も見えません。もちろんAF(オートフォーカス・自動焦点調節)もできませんし、MF(マニュアルフォーカス・手動焦点調節)でも見えないのですからピント合せはできません。またAE(自動露光調節)もできません。

5 IR90フィルターを使用し、フォーカス調整をしないで撮影した写真

 カメラの焦点調節と露光調節はマニュアルにして三脚を使用します。撮影はまず赤外フィルター無しで構図を決めピントを合わせます。次に赤外フィルターをつけます。赤外フィルターをつけて撮影すると赤外画像の焦点位置は普通撮影位置からは少しズレますので、少しだけ近距離にピントが合うようにフォーカスリングを調節します。5の写真は普通にピント合せをした後、赤外フィルターをつけてもフォーカス調整をしないで撮影したものですからピンボケになっています。どの程度フォーカス調整をしたらよいのかはレンズによって違いますので、赤外フィルターをつけて撮影し、すぐに撮影画像をプレビュー(再生)して画像を拡大し、最もピントの合っているフォーカス位置を探ります。

 露光は普通撮影よりはるかに長時間が必要になりますが、これもテストして適正露出を探って下さい。上の写真は、1がISO100で絞りF11、シャッターは1/125秒の露光ですが、3の写真はISO100で絞り11、シャッターは30秒の長時間露光でした。

 一般的なデジタルカメラは画像の劣化を防ぐために撮像素子の前面に赤外光をカットするフィルターがついています。理屈で言えば赤外光だけを透過する赤外フィルターを使って赤外光を撮像素子に届けようとしても、素子の前にあるフィルターが赤外光を透さないのですから撮像素子にはまったく光は届かないはずなのですが、実際にはある程度の赤外光を透過しています。その程度はメーカーや機種によってさまざまです。高級機種や最新機種は赤外光を透しにくいようですが、少し前の機種はその辺りが甘いようで赤外光を透すものがありますので、そのようなカメラだと赤外撮影ができます。これもテストしてみないと分らないことではあります。いくつかのカメラをテストした結果、作例ではCanon EOS 10Dを使用しました。一部の機種では素子前面のフィルターが無いものもあり、また外すことができたり、フィルターを外すような改造をするショップもあります。

 今回赤外フィルターは手元にあった富士フィルムの「INFRARED SHARP CUT IR90」を使用しました。トリアセチルセルロースでできた75mm×75mmのシート状のフィルターです。このシリーズには「IR76」から「IR96」まで11種類のステップがあります。数字が大きいほど可視光及び近赤外線をカットします。これもどのフィルターが良いかは使用するデジタルカメラとの相性をテストしてみないとわかりません。ちなみに数字はカットする(または透過する)光の波長を表し、IR90は90nm(0.9μm)という意味です。最近メーカーから光学ガラス製赤外フィルターが発売されましたが、相当高価で72nmの1種類だけですから富士フィルムのフィルターの方をお薦めします。富士フイルムのは1,000円程度です。なおシート状のフィルターをレンズに取り付けるゼラチンフィルターホルダーがあると便利です。

 昔は赤外フィルムを使って撮影しましたが、KODAK HIE及びEIRの35mm用は製造中止になりましたので、EfkeのIR820(PDF)だけになったようです。赤外フィルムは暗黒の中で現像しなければなりませんでしたし、粒子も粗く特別な効果が必要な場合だけ使いましたが、感光度は高いので動くものでも撮影できました。このテストでわかるように普通のデジタルカメラ利用の赤外撮影は長時間の露光になりますので動体には向きません。しかし粒状も階調も良いので汚れたり薄くなったりして判別不明な書画などの画像解析には利用できるのではないかと思います。またそのあたりもいずれ実験してみたいものです。


ちょっと立寄り

色づいてきました 2008.10.31  撮影:今駒清則

31日、急に寒くなってきました。11月7日が立冬ですからこんなものなのでしょう。今までが暖かったと思います。11月中旬には紅葉も見頃になることでしょう。

魚? 2008.10.31  撮影:今駒清則

 ふと海に行ってみようと思いついて海辺に行ってみました。今日は視界が悪く靄っているので写真になるようなものは無かったのですが、石積みの護岸を眺めているとすぐ近くの海中にかなり大きい黒っぽいかたまりがあります。魚かな?と思って眺めていましたが動きません。石なのか、と少し視点を外してまた見ると少し位置が変わっています。透明度が無いのと曇り空でなんだかよくわかりませんが、じっと見ていると白っぽい口が動いている感じでやはり魚のようです。場所柄大きなチヌ(黒鯛)かな、それにしては動かないし・・・、とりあえず写真を撮ってみました。まだよくわかりません。そのうちゆっくり石積みに沿って移動したので、その方向に一歩歩いたら魚は反転して沖の方へ逃げて行ってしまいました。反転するときに魚体に縞模様があるのがみえたのでますます何の魚かわかりません。

クエ? チヌ? 2008.10.31  撮影:今駒清則

 帰宅してデジタルカメラの写真データーをAdobe Photoshopで調整して魚の姿を引き出してみました。画像を明るくするだけではまだはっきりしないので、わずかに写っている魚の明部と暗部を細かく調整することで自然な感じの写真にしたのが上の写真です。水面のゴミとか石の護岸までは手を入れていません。とりあえず魚を確認するだけの写真です。

 魚体、縞模様、白い大きな口、尾びれの形などからクエのような感じです。大きさは50cm以上はあるでしょう。クエはもっと深いところの岩場にいる魚で、なかなか釣れない高級魚として有名です。こんな近くにいるはずがない、と思えるのですが、実は昔に泉南のこのような所でチヌ釣りをしていて35cmのクエを釣り上げたことがあるのです。クエ子でしたがびっくりした覚えがありますので、この魚もクエではないかと思うのですがどうなのでしょう。時間があったら釣ってみたいですね。

(追記:魚体が丸く見えたのでクエ子かと考えたのですが、ほとんど真上から見ていたのでそう見えたのでしょう、写真を詳細に観察し場所柄も含めてチヌ(黒鯛)と判断しました。それにしても大きなチヌが間近にいるものですね。)


9月 08年10月

11月