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近況 2015年2月


 

飛騨高山 宮川のマガモ


飛騨高山 宮川のマガモ 鍛冶橋から 2015.2.2  撮影:今駒清則
The mallard in Miyagawa river, Hida-takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月2日
 今冬の飛騨高山は雪がいつもより多いようです。12月中旬の大雪が根雪となって残ったからでしょう。雪景色を愛でる観光客には楽しみですが、住民には不便なことです。
 町の真中を流れる宮川はいつものような清流でなく珍しく褐色に濁り、柳橋と鍛冶橋間の川面にはマガモが群れていました。ただ野鳥に餌付けをしていて、どうもそれで集まっているようです。

 


 

飛騨・高山 飛騨染の寒ざらし


飛騨高山 闘鶏楽(カンカコカン) 2007.10.10  撮影:今駒清則
 "Tokei-gaku" Dance costumes, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月3日
 飛騨の祭に欠かせない闘鶏楽(カンカコカン)や獅子舞のダイナミックで美しい衣装は飛騨染です。

 


飛騨高山 飛騨染の寒ざらし 「ゆはら染工」 2015.2.3  撮影:今駒清則
"Hidazome" dyed, Exposed to cold, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 染め上げた反物を「伸子」という竹ヒゴで広げ、半日ほど雪に曝して発色を良くし定着をうながします。今の季節、松倉山の麓に美しい風景が広がります。

 


飛騨高山 飛騨染職人の柚原博明氏 「ゆはら染工」 2015.2.3  撮影:今駒清則
Mr.Yuhara is Meister of the "Hidazome" dying, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 現在では唯一となった飛騨染の工房「ゆはら染工」の柚原博明氏は、神社ごとに異なる鳳凰や龍などの意匠を、大豆の汁で溶いた顔料で黙々と染め上げておられました。

 


 

飛騨・高山 節分祭 櫻山八幡宮


飛騨高山 櫻山八幡宮「御霊串」のお祓い 2015.2.3  撮影:今駒清則
"Mitamagushi", Sakurayama-hachimangu, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月3日
 節分、全国の寺社へ除災・招福を願ってお参りします。
 櫻山八幡宮ではお祓いに大きな「御霊串
みたまぐし」で祓っていただけます。「御霊串」は常はご本殿に納めてあり、この節分の時だけに出仕します。神さまのお傍近くで長く過した御幣ですから濃厚なお祓いのことでしょう。

 


節分の紙絵馬 飛騨高山 櫻山八幡宮 2015.2.3  撮影:今駒清則
Votive picture tablet made of paper, Sakurayama-hachimangu, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 参拝の後は福引きと甘酒のお振舞いがあります。福引きでは幸いを得た数人の方のみ、この紙絵馬を授与されるもので希少な絵馬です。

 


 

飛騨・高山 国分寺の節分 星祭と七福神


飛騨高山 国分寺境内の七福神 2015.2.2  撮影:今駒清則
Seven Lucky Gods image, Hida Kokubunji, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月3日
 節分の飛騨国分寺境内は七福神のパネル像が建並んで賑やかなこと。

 


飛騨高山 国分寺の星祭 2015.2.3  撮影:今駒清則
Ritual of amulet esoteric Buddhis, Kokubunji, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 高野山真言宗の飛騨国分寺では除災の星祭。護摩供に多くの参詣者が詰めかけています。

 


飛騨高山 節分祭七福神豆まき巡行 2015.2.3  撮影:今駒清則
Processio of Seven Lucky Gods, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 一方、国分寺通り商店街連合会が催す「飛騨国分寺節分祭 七福神豆まき巡行」は、国分寺を出発して国分寺通りから古い町並み、本町通りの店舗などで、七福神や鬼に扮した市民が厄よけ・開運を祈願して豆撒きをして巡ります。

 


飛騨高山 国分寺の豆撒き 2015.2.3  撮影:今駒清則
Bean-scattering ceremony on "Setsubun", Kokubunji, Hida-Takayama. Photo : KOMMA Kiyonori

 町を巡った一行は国分寺に戻って住職とともに豆撒き。また町に出て行きました。明日は立春です。

 


 

おぼろ満月


おぼろ満月  2015.2.4  撮影:今駒清則
Full moon on a hazy. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月4日
 今日は立春で満月、明日は寒波が来て全国的に雪降りとの予報なので、夜も雲が多くせっかくの満月もおぼろです。

 


 

神域 石上神宮


紙垂 石上神宮楼門 2015.2.7  撮影:今駒清則
"Shide", Isonokami Shrine. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月7日
 久しぶりに会合で天理市の石上神宮。土曜日でもあってか参拝の方や山辺の道を歩くハイカーで賑わっていました。

 


紙垂 石上神宮拝殿 2015.2.7  撮影:今駒清則
"Shide", Isonokami Shrine. Photo : KOMMA Kiyonori

 拝殿にともる灯になぜか引き込まれます。

 


 

雨雲


雨雲  2015.2.8  撮影:今駒清則
Rain cloud. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月8日
 寒気が下ってきたとの予報。大阪ではさほど寒さは感じませんが、夕方になって空模様が怪しくなってきました。

 


 

寒い日


ガラス窓に露  2015.2.9  撮影:今駒清則
Condensation On Glass Window. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月9日
 予報では雪に注意、でしたが山沿いに少し雪雲が来た程度で、大阪には雪は降りませんでした。しかし気温は急低下。朝は零度程になりました。

 


月  2015.2.9  撮影:今駒清則
The moon. Photo : KOMMA Kiyonori

 昼の月、雲に隠れます。

 


 

東海道新幹線車窓 冬


関ヶ原付近雪景(新幹線車窓) 2015.2.10  撮影:今駒清則
Sekigahara of snow scene (Train window shooting). Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月10日
 関ヶ原付近は大雪、新幹線は速度を落として運行中です。

 


富士川から富士山(新幹線車窓) 2015.2.10  撮影:今駒清則
Mt.Fuji landscape from Fujigawa river (Train window shooting). Photo : KOMMA Kiyonori

 近江の雪景色から一転、美濃にさしかかると雲一つ無い青空。富士山はこれ以上は無い冬景色。

 


雪煙の富士山(新幹線車窓) 2015.2.10  撮影:今駒清則
Spray of snow Mt.Fuji (Train window shooting). Photo : KOMMA Kiyonori

 風が強いのか富士は雪煙を舞い上げています。車掌の富士山案内アナウンスに新幹線の車中で歓声があがりました。

 


 

突然の雪雲


六甲山にかかる雪雲 2015.2.13  撮影:今駒清則
Snow clouds across Mt.Rokko. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月13日
 北陸などの北国に低気圧の影響で大雪の注意報。大阪は晴れていたので高をくくっていたら16時頃に西から大きな雪雲が。

 


あべのハルカスを包み込んだ雪雲 2015.2.13  撮影:今駒清則
Snow clouds that wrapped "Abeno Harukasu". Photo : KOMMA Kiyonori

 大阪市街に黒雲がかかって雪が降ってきました。

 


湿った雪粒 2015.2.13  撮影:今駒清則
Wet snow. Photo : KOMMA Kiyonori

 気温は5度位なので降ってきた雪はアッという間に融けてしまいます。

 


雪雲が去った後の生駒山 2015.2.13  撮影:今駒清則
Snow clouds had left Mt.Ikoma. Photo : KOMMA Kiyonori

 雪雲は六甲山、大阪市街、生駒山と通過し、東へ去って夕陽が射してきました。

 


 

APS-C 広角レンズをフルサイズで撮影

CANON ZOOM LENS EF-S 10-18mm 1:4.5-5.6 IS STM
SONY α7R

2015年2月14日

 APS-C 用広角ズームレンズ キヤノン EF-S 10-18mm 1:4.5-5.6 IS STM  (2014年5月29日発売) は価格の割には高性能です。このレポートはフルサイズカメラのソニーα7R にマウントアダプターを介して装着し、その画質を簡単にテストしてみたものです。

 目的は周辺部の描写と光量の様子を見るためです。
 APS-C (画面サイズ 22.4mm×15.0mm) 用のレンズですから、フルサイズ (画面サイズ 35.9mm×24.0mm) で撮影すれば当然イメージサークルが足りず、フルサイズ画面では周辺部は写らないか画質不良です。参考のために掲載画像には APS-C のサイズを黒いフレームで表示しました。

 事前テストでは、10mm〜14mmでは F5.6〜F11 が良好な画質。16mm〜18mm では F8〜F11 が良好な画質でしたので、このテストではすべて F8 で撮影しています。

 ついでに専用レンズフード (EW-73C) を装着した時の画像も掲載しました。なお 14mm 以上はフードによるケラレは写っていません。

 細長いサムネイル画像をクリックすると実写画像の部分 (3680×512画素 JPEG ) が表示されます。実写画像は画面の右半分の中央部分で、画面中央から右端までを表示しますので画質はここで確認できます。
 掲載にあたりデータ量を少なくするためにデータ圧縮していますが、PCでのモニタリングにはさほど影響はありません。ソニーα7R の JPEG 画像は少しシャープネス (輪郭強調) が強いようですのでその点をお含み下さい。

 10mm〜18mmのAPS-C 用超広角レンズ (フルサイズでは16mm〜29mm に相当) は、フルサイズ用広角レンズより焦点距離が短い分、被写界深度が深くなってピントの合う範囲が広く、例えば超近接から遠距離までをシャープに撮影するのにフルサイズ用広角レンズよりも有利です。また4段分の IS (手ブレ補正機構) を搭載しているので暗い室内撮影などにも最適です。ただプラスチックマウントなので耐久性はあまりないと思いますが、頻繁にレンズ交換しなければまず問題ありません。サブカメラとして軽量 APS-C EOS にこのレンズを着けっぱなしで使用するという方法もありますね。

 キヤノンのフィルム時代からのレンズをデジタルカメラで撮影すると、 L レンズを除いて殆どがロクでもない画質でしたので (キヤノンだけではありませんが) 、さすがに最近では順次モデルチェンジ (モデル名に II と表示) しています。この EF-S 10-18mm は新機種ですのでデジタル対応に関しては価格 (実売約 3万円) 以上の性能と言えます。

 


EF-S 10-18mm  10mm


10mm


10mm 中央から画面右部分(写真をクリックすると拡大頁)


10mm 専用フード装着


EF-S 10-18mm  12mm


12mm


12mm 中央から画面右部分(写真をクリックすると拡大頁)


12mm 専用フード装着


EF-S 10-18mm  14mm


14mm


14mm 中央から画面右部分(写真をクリックすると拡大頁)


14mm 専用フード装着


(参考) EF14mm 1:2.8 (フルサイズ用)


EF14mm 1:2.8


EF-S 10-18mm  16mm


16mm


16mm 中央から画面右部分(写真をクリックすると拡大頁)


16mm 専用フード装着


EF-S 10-18mm  18mm


18mm


18mm 中央から画面右部分(写真をクリックすると拡大頁)


18mm 専用フード装着



 

雪の山へ


晴れた雪山 2015.2.16  撮影:今駒清則
Snowy mountains on a sunny day, Mt.Dainichi, Gifu. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月16日
 奥美濃のスキー場へ。大日ヶ岳の高鷲スノーパーク。雪たっぷりで快晴、快適なコンディションです。

 


大日ヶ岳から北アルプス 岐阜県 2015.2.16  撮影:今駒清則
Prospects for North Alps to look at from Mt.Dainichi. Photo : KOMMA Kiyonori

 スキー場のトップ(標高約1,500m)からは北アルプス一望です。

 


大日ヶ岳から御嶽山 岐阜県 2015.2.16  撮影:今駒清則
Prospects for Mt.Ontake to look at from Mt.Dainichi. Photo : KOMMA Kiyonori

 その右(南)の御嶽山はまだ噴煙を上げていました。

 


 

煙った日


霧かかる 大日ヶ岳山麓 2015.2.17  撮影:今駒清則
Mountain fog-consuming, Foot of Mt.Dainichi. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月17日
 朝から霧がたちこめ気温が上がっています。

 


煙るゲレンデ 高鷲スノーパーク 2015.2.17  撮影:今駒清則
Piste to hazy, Takasu snow park. Photo : KOMMA Kiyonori

 ゲレンデは小雨と霧。上に上がると視界不良のホワイトアウト。危ないので数本滑走しただけで終了に。写真はベース付近でも霞んで見えるスノーボーダーたち。

 


 

フル滑走の日


融ける 2015.2.18  撮影:今駒清則
Icicle melts. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月18日
 気温はまだ少し高いようですが、昨夜に少し雪が降り快晴なのでまずまずのコンディション。

 


陽射し 高鷲スノーパーク 2015.2.18  撮影:今駒清則
Sunshine, Takasu snow park. Photo : KOMMA Kiyonori

 トップからベース付近までの約3,000mをノンストップラン。ゲレンデ中のあちこちで座っているスノーボーダーを縫ってのスラロームです。本日は十数本の滑走。

 


  

スキー最終日


パイプで翔ぶ 高鷲スノーパーク 2015.2.19  撮影:今駒清則
Snowboarders to jump in the half pipe, Takasu snow park. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月19日
 今日も晴れてまずまずのコンディション。午前中もずっとノンストップラン。さすがに足がヨレてきてお昼過ぎに帰り支度。なお高鷲スノーパークにはハーフパイプの設備が揃っています。

 


 

京都御苑の梅 2015


京都御苑の白梅 2015.2.21  撮影:今駒清則
White plum of Kyoto Gyoen national garden. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月21日
 京都御苑を少し散策、梅林にはそっと白梅が。

 


 

金剛能楽堂の庭 2月


金剛能楽堂庭の滝水 2015.2.21  撮影:今駒清則
Waterfall of Kongo Noh Theater garden. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月21日
 まだ冬景色の金剛能楽堂の庭。十三重塔あたりからの滝の水が静かな水音をたてています。
 今日は「春の茂山狂言会」、千五郎師の古希祝賀で豪華番組ですが、中でも「鶏猫
けいみょう」は大変珍しい曲で、茂山家の自主公演では41年ぶりという稀曲、私も初見です。千五郎、七五三、それに千五郎の孫の虎真らで演じた人情ばなしの狂言でした。

 


 

マジックアワー


マジックアワー 2015.2.24  撮影:今駒清則
Magic Hour. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月24日
 日が入って暗くなるまでの空の変化はいつも見とれてしまいます。場所を問わずどこでも見られるので、時間があればゆっくり観察してみましょう。古来から黄昏、薄暮などの言葉がありますが、映像関係ではマジックアワーと言う場合があります。美しい映像ができる時間だからでしょう。

 


 

入江泰吉旧居 開館記念式典


入江泰吉旧居 開館記念式典 東大寺金鐘ホール 2015.2.28  撮影:今駒清則
"IRIE Taikichi's house" Opening commemorative ceremony, Todai-ji Temple Kinsho hall.
 Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月28日
 入江泰吉先生の没後、お宅が奈良市に寄付されて永らくそのままになっていましたが、このたび保存工事が完了し、3月1日から一般公開されることとなって奈良市により記念式典が催されました。

 公開に当たって尽力された仲川げん奈良市長、弟子で活用ワーキンググループの牧野貞之さん、先生と親交のあった歌手ペギー葉山さん、東大寺管長の筒井寛昭さんらの挨拶のあと、俳優真野響子さんと倉橋みどりさんのトーク。アマチュア写真家であった真野さんの父が写真展の案内を入江先生に差し上げたところ、丁寧な手紙を頂いたとのエピソードを披露。亀井勝一郎先生の「大和古寺風物詩」(写真:入江泰吉)を手に大和路巡礼をした様子をお話されました。

 なお真野さんのお話の中で、入江先生が撮影中に障害になった人に「あっちに行け」と言った、普段は温和だが仕事になると厳しくなる、というような主旨のお話をされましたが、これはまったく有りえないことで、多分 Wikipedia の「入江泰吉」の項にある話を受けてのことではないかと思います。その Wikipedia では以下のようになっています。

 「1951年ごろ、当時産経新聞京都支局の記者だった司馬遼太郎がお水取りの取材に来ていたとき、アマチュアカメラマンたちが連行衆に向かって一斉にフラッシュを焚いた。すると小型カメラを構えていた白髪痩身の男が急に振り向いて「あっちに行けっ!」と低く叫んだ。アマチュアカメラマンたちは、その気迫に圧されてカメラをおろしてしまった。それが、司馬の入江との初対面だった。後に入江と親しくなった司馬は、その穏やかで恥ずかしがりな人柄と、あの夜の厳しい叱咤がどうにも結びつかなかったという。」

 これは司馬遼太郎さんが書いたものを参考にしたようですが、どうもその司馬さんは何か勘違いをされておられるのではないかと思います。まず入江先生がそのような場であっても"決して"そのような言葉を言う人柄ではないこと、これは長年接してきた私も思いますし、近い親戚の方、また身近であった方の全てが「そのようなことはありえない」と口を揃えて言われます。
 さらに「白髪痩身の男」について、その1951年頃の入江先生は当時46歳、痩身ではありましたが「白髪」ではなかったと思います。私は1960年に初めて入江先生にお目にかかりましたが、その時でもさほど白髪ではありませんでした。
 どこでこういう話になってしまったのかは司馬さんも入江先生も他界されているので確かめる術は無いのですが、司馬さんは誰かと人間違いをされたのか、または創作・誇張をされたのではないかと思っています。

(追記:引用した Wikipedia の記事中には「連行衆」とありますが、正しくは「練行衆」です。)

 


 

入江泰吉先生のお宅 一般公開 1


入江泰吉先生宅 玄関 2015.2.28  撮影:今駒清則
"IRIE Taikichi's house", Entrance.  Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月28日
 長年閉ざされていた水門町の入江泰吉先生宅。今日は一般公開に先駆けてのプレオープンです。私は1960年頃から44年間、折にふれて訪れたお宅です。1992年に入江先生が亡くなられた後、お宅は奈良市に寄贈され、奥様が2004年に亡くなられた後は閉められたままでした。その後は入江泰吉記念奈良市写真美術館が管理し、近年法蓮町の徳矢住建により耐震補強と改装がなされ一般公開にこぎつけました。ですから私には11年ぶりの訪問となります。
 なお建物は近くの吉城園の正法院家住宅を1919年に建て替えた際にここへ移築したと伝えられ江戸期の建物です。彫刻(乾漆)家・細谷而楽(三郎)の住居を1949年に購入し住まいされておられたものです。

 


入江泰吉先生宅 座敷 2015.2.28  撮影:今駒清則
"IRIE Taikichi's house", Japanese-style room.  Photo : KOMMA Kiyonori

 訪れると玄関のすぐの右手に行き、そこはテレビとコタツがある居間で、ここが入江家の団欒の場所でした。そうそう1964年の東京オリンピック開会式もここでみんなとテレビを見ていました。また後に茶室にもなるよう床をしつらえ、炉を切って改装されました。
 左手は台所の入口、食卓と奥に長いキッチンがあり女性たちのいつもの居場所で、おしゃべりしたり食事もここでいただくこともあります。また道路側の小窓から「ここ入江泰吉さんのお宅ね」などという観光客のおしゃべりも聞こえてくるのでした。この台所はこの度改装されて事務室となっています。

 奥に入ると座敷になります。床脇がある書院造の座敷で、掛け軸はいつも會津八一(秋艸道人)氏の書か「二月堂焼経」でした。今は入江先生の書が掛けられています(写真)。
 この広間では「水門会」の催しがよく行われました。水門会とは先生・奥様の友人、親戚、弟子、近所の方などの集まりで、食事や色々な遊びをしました。また時には弟子たちの作品を広げて見ていただく厳しい場でもありました。

 


NHK-TV「古代への幻想〜入江泰吉の世界〜」(1991年)映像から
From a picture of NHK-TV "The illusion to antiquity-Irie Tikichi's world-".(1991)

 

 NHK-TVの「古代への幻想〜入江泰吉の世界〜」(1991年放送)にこの座敷で「水門会」の写真家たちが集まっている様子が収録されています。映像の左から出合明、井上博道、入江泰吉、小椋勉、今駒清則(私)、樽井眞邦、矢野建彦らです。24年前の映像ですから皆若いですね。この半分以上がもう故人となっていますので、天国の「水門会」の方が賑やかかもしれません。

 


入江先生宅 応接間 2015.2.28  撮影:今駒清則
"IRIE Taikichi's house", Drawing room.  Photo : KOMMA Kiyonori

 座敷の隣りはソファのある応接間。来客はここで入江先生と懇談されました。多くの著名人も向こうのソファに掛けられ、入江先生はいつも写真右の席。後ろには大きな書架があり、著作本や受贈本、全集などが納められていましたが、整理されたのか当時とは少し違った内容になっています。
 テーブルには時にフィルムを見るためにカラービューアーが置かれます。飲み物は入江先生がお好きだった紅茶ばかりでしたが、後にコーヒーも出されるようになりました。
 写真中央の障子際には、東大寺大仏殿前にある国宝金銅八角灯籠火袋の音声菩薩拓本の屏風が立てていましたが今はありません。

 応接間からは廊下越しに庭の木々が望めます。南と西へ大きなガラス窓越しに開けています。秋の紅葉ともなれば素晴らしい景色がここに展開されます。この度は耐震のため南側の一部に壁が新たに取付けられたので少し視界が狭くなりました。それに庭の樹草を整理間伐したので風情が整うまでしばらく時間がかかるかもしれませんが、ぜひ秋の紅葉時期にご来訪いただいてその絶景をお楽しみ下さい。(この項続く)

 


 

二月堂修二会 本行前


奉納の竹 東大寺二月堂参廊宿所前 2015.2.28  撮影:今駒清則
The dedication bamboo, Todai-ji Nigatudo Temple. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月28日
 水門町の入江泰吉先生宅から戒壇院を通り大仏殿裏から二月堂へ。今日は修二会の練行衆が戒壇院別火坊での別火を終えて二月堂の参廊宿所へ上られる日です。二月堂下の石段で練行衆へのお見舞いを終えた筒井管長や森本長老、橋本長老らとお会いし立ち話、参廊宿所で荷物の整理に忙しい練行衆や童子さんらにもちょっとご挨拶して二月堂へ参拝。

 


参廊宿所の屋根 東大寺二月堂 2015.2.28  撮影:今駒清則
Dormitory of study, Todai-ji Nigatudo Temple. Photo : KOMMA Kiyonori

 二月堂の舞台から見える参篭宿所あたりが少し色づいていました。ちょっと春が近づいてきたようです。明日からはこの二月堂に松明が上り、練行衆の声明が響き渡ることでしょう。

 


 

小鹿 東大寺境内


小鹿 東大寺境内 2015.2.28  撮影:今駒清則
Fawn, Todai-ji Temple precinct. Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月28日
 可愛い子鹿が出迎えてくれました。もう鹿の子斑はほとんど消えています。

 


小鹿の睫毛 2015.2.28  撮影:今駒清則
Eyelashes of a fawn, Todai-ji Temple precinct. Photo : KOMMA Kiyonori

 よく見るとシカの眼球はとても大きく、それを保護するように睫毛がとても長いのです。羨しい女性も多いことでしょう。

 


 

冬の鳥 東大寺の池


コガモ 東大寺の池 2015.2.28  撮影:今駒清則
Common Teal, Pond of Todai-ji Temple.  Photo : KOMMA Kiyonori

2015年2月28日
 東大寺南大門の東に池があります。観光案内にはないので落着いた佇まいで休憩には最適です。池には二羽のカルガモと一羽のコガモが。コガモはなかなか近づいてこないので季節の渡鳥でしょう。


カルガモ 東大寺の池 2015.2.28  撮影:今駒清則
Grey duck, Pond of Todai-ji Temple.  Photo : KOMMA Kiyonori

 カルガモは奈良公園のあちこちの池でよく見られます。春から夏にかけて子連れのカルガモが歩いているのも見かけます。

 


1月 2015年2月 3月